父の最後の日。
小雨が降る寒い日でした。
私は祭日出勤の振り替えで休みでした。
食材を買いに出ていました。
ATMから出た時に着信がありました。
「実家」
受診後一週間位経っていました。
父は退院後落ち着いていると聞いていたので、また母の無心かと思いました。
私:何。
母:私だけど。
私:わかります。
母:パパが息が変なみたい。
私:え?
母:朝にしんどいって言ったから、私は近所のみさえさんと約束があったから、寝ときなよって言ったの。帰ってきたら、パパが息静かで、お姉ちゃんが救急車呼んで今心肺停止って言っているわ。病院に来てね。
私:病院に行きます。
電話を切って、病院に向かいながら、心肺停止?なんで?
また母が聞きかじりで馬鹿なことを言っている。
っていうか、お父ちゃんがしんどいって言ったのに近所の人とまたランチに行ったのか。ほんとにふざけた人だ。などとぐるぐる考えていました。
病院に着いたら、駐車場が寒かった。
山の近くにある病院はとても寒かったです。息は白く小雨は冷たかった。
救急外来に案内されました。
父がベッドに寝ています。
楽そうです。顔色も悪くない。
「あ、蘇生ができたんだ。持ち直したんだ」と思いました。
姉と母が立っていました。
母は普通の顔です。
姉は目が真っ赤になっています。
なんで?
モニター画面をみました。波形がフラットな線のみ。
「姉ちゃん?父ちゃんは?」
姉が左右に首を振ります。
「家で止まってた。でも心臓マッサージをしてくれて救急車で運んでくれた」