葬儀の朝
お通夜でも、私たち兄弟が父の思い出話をしていると、母が全くどうでもいい話をしてきます。
そしてまた父の話をしていると、母が、の無限ループ。
みんなうんざりして、まさに「お通夜」の空間になりました。朝方交代で仮眠をとりましたが、私は全く眠れないかったです。
朝が来て、各々身支度を整えていました。
私も軽く化粧直しし、髪を整えました。
「化粧品がない」と母がぶつぶつ。私は聞こえないふりをしました。
「化粧品がない」
「化粧品がない」
姉や妹の所へ行ったのか?
振り返ると姉が消えていました。
あー私もうざいから逃げよう。ポーチを掴みトイレに行きました。
トイレで姉が化粧していました。
姉「化粧品貸したら持っていかれるのよ。あんたの結婚式の朝も一式取られてね。被害総額がすごかった。化粧品くれないと結婚式出ないって脅されて」
私「喪服と同じ手口だ」
姉「ホントに焼かなきゃ治らないよね」
姉と戻ると、口論が聞こえます。
妹と母でした。
妹「私の化粧品は大したものでないからお母さんにはあげられないよっ。古いの!でも今日は塗ってあげるから!」
バチバチと叩くように、液体ファンデを塗られていました。
白塗りの、某殿様位塗られていました。
口紅は指でぐりぐり塗られていました。
母「化粧品ちょ…」
妹「早く鏡みて直しなさいよ!」
母は鏡を見に行き、妹は急いで化粧品を車に仕舞いに行きました。
姉と思わず顔を見合わせました。